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クリエーティブディレクターの中塚大輔さんと一緒に、宣伝会議のコピーライター講座で写
真とコピーの授業をやりました。写真とは全く対極と思われる触覚をテーマにして、目隠しをして人やなにかのオブジェにさわりながら、感じたままを写
真にとってもらったり、コピーや短歌やオノマトペを造語してもらうというワークショップです。
たとえばある人はレバーをバスタブにほうりこんでその中に自分も入って撮影するとか、自分やモデルにショートケーキをぬ
ったくって撮影するとか、卵を幾つも割ってべちょべちょになっているところを撮影するとかっていうようにです。さすがに広告のコピーライターをめざす生徒さんたちなので、なかなか面
白いセッティングをかんがえてとっています。知らない人から見たらそうとう変態チックな撮影風景だったかもしれませんね。
普段は写真をそんなに意識してとることも少ない生徒さんたちだったと思いますが、結果
は傑作・珍作・怪作がいっぱいできました。おもしろかったです。 そのときに自分でもとってみたものを何点かいれておきました。
僕たち写真家もほうっておくとどんどん頭がかたくなっていくものなのでこういうワークショップの体験はすごくためになります。
僕の撮った触覚写真より、生徒さんの触覚写真に一瞬どきっとする写真があったりしてもうプロとアマの差なんかない世界でしょ。
なにか感覚的にいきづまったりしたときは目をつぶって考えたり行動したりするのはとても有効だとおもいます。SF作家のジョン・ヴァーリイの短編小説「残像」に盲目になることの狂おしいほどの解放感がえがかれていますよね。
1985年、世の中まだバブルの絶頂期だった頃のことです。ま、コピーライター講座ではバブルなんて毛ほどもかんじられなかったですけど。
当時でていた「写楽」 という写真雑誌に特集されていますので記事部分を再録しました。
■おもしろ実験工房
見ることを学んでしまった人々よ 、たまにはナンノコッチャしてみましょう、ぺけぺけぶ
奇妙な授業だ。
宣伝会議のコピーライター養成講座第49期生たち。講師はウールマーク、ジャックダニエル、ディズニーランドのコピーで知られる中塚先生。あいかたは異色気鋭の永田カメラマン。
生徒60名ほどが黒布で目隠し。「まるで銃殺風景、ブスも美人になって、すごく気分がいいね」などと先生にいわれながら、紙袋の中に仕込まれたコンニャクなんかを触っている。
その感触で、コピーを書く。ズニュン、スジ入り、光沢、たるみ、といった形容が暗闇からわきでてくる。
そして宿題。家で目隠しして何かを写真に撮り、コピーも考えること。目玉
の既成概念を壊す、無心、知覚のとりかえ、新しい皮膚感覚の発見、そのあたりがテーマである。
卵をぐちゃぐちゃ、レバー肉、ひきちぎったカセットテープ、水中花、ケーキの投げあい、犬の鼻、八百屋でくれた腐れバナナ、発声する口もと、布、ストーブの熱気、衣服、ヌード、などを選び、生徒たちは握ったり抱いたりコスッたりしてきた。
「アートしてきたなぁ。コピーライターの学校より写真学校いったほうがいいんじゃない、そんなかんじですよね。こうゆー学校にくる人、普通
の事務職とかやってて、本気で異常ぶっちゃうとこあるんですよ。えたいの知れない凄さ。
女性のほうが多くて、まずマトモに喋れない。戸川純ふうかな。カメラみたいな機械つかわせても生理まるだし。男性のほうはもともと考えてるステロタイプにとらわれやすくて、作品発表のときなんかも、どーしてもリクツで感想を説明するようです。」
たしかに男の方が概念に縛られて女の方が生理を縛ろうとする傾向が一般的だ。そして同一人物では絵はフッきれているのに、コピーが粘りついていることも多いようである。
「写真のほうが自己放棄しやすいんでしょうね。言葉の操作としてはマアマアなんですが、ふっとこぼれるような言葉がなかなかでてこない。独特の気どり方があるようで、ネジれてるのが当たり前みたいですね。あるいは手ヌキでぶっきらぼー、誠意をつくしてないコピーなんだなぁ」
先生は厳しい。まあ笑いながらだけど。
「でもね、実際に2時間も目隠しするとホントに疲れる。体験ないから、もどかしさ、不安、ざわざわとした変態的感動とかね、そーゆーのコピーにでますよ。だからいいのかな」
触覚、表面がじゃまして、本質に触れないかんじ。モノよりも、それを触っている自分自身をかんじてしまう、そんな感想がでるそうだ。
触る、ときどき目隠しをはずして言葉をメモしておく、触る、気配のあたりにむかってシャッターをきる、触る・・・・・。
「撮ったときの手応えは、目をあけて撮るときよりある。現像あがってくるのも予測つかないぶん楽しみですよ。
カメラを手の延長のようにして撮ること。レンズに知覚があればいいなぁ、レンズ先端での味わいはどんなんかなぁ、これですよね。
自分が動くことも大事ですよ。どうしてもちぢこまりがちになるから。目での視野と手のひらの大きさのちがい、ぐぐっと動いてみる。
それと、触り方にも種類がある。表面をなでる。ぎゅっとツマむ、壊れるぐらいにバラバラにしてしまう、このへんも工夫してみてはいかがでしょう」
と、永田さんからのアドバイス。
両先生には花で別々にコピーと写真の例題をだしていただいた。やはりこれはプロで快作ぞろい。
バラの札束あったらいいね
便器のなかを虫すべる花弁
「祈るときの左右手のひらの合わさった感触、しみじみします。やはり何ですね、冗談でやってるうちに何事も気分がいいものですよ」などと談笑しながら作品のスライド上映会。
じっと見つめるピンボケ写真。もれる嘆息、のみこむ固唾。すんぺりまこまこの印象である。
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