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■コニカのフィルム・ズームスーパー800のポスターの仕事。 ADの佐藤恵美子さんからのリクエストは、男の子にはみせない、けれどなんでもさらけだせる親友の女の子の前ではつい許してしまう表情を撮りたいということでした。しかもラフにはバスルームで泣いているシーンまであって、正直とまどいました。モデルとなるのは香港の女優ステファニー・チェさん。中国人は日本人とはかなり感性もちがうので、それなら全部のカットを映画のシーンのようにとっていけばスムースに行くかもしれない、と思い簡単な映画のストーリーを用意していきました。このたくらみはうまくいって、ステファニーさんもノリノリで撮影にのぞんでくれました。残念だったのは香港に台風が接近中で、撮影の半分以上を雨の中でこなさなければならなかったこと。
リチャード・アヴェドンはウィンザー公夫妻のシリアスなポートレートを撮るために、夫妻が犬好きなことをつきとめて、撮影のさいに「今日スタジオに来るときに犬が車にひかれるのを見た」とうそをいって夫妻のシリアスな表情をひきだしたそうです。 「わたしならこんなことはしないわ」とグレース・ケリーに脚本の演技についていわれたときにヒッチコックは「うそでいいんだよ、グレース」といったとか。リアリティを必要とする撮影にはギミックが必要です。バスルームで泣いているステファニーさんは撮影のために何度も本物の涙を流してくれました。さて彼女はどういう理由で泣いているんでしょうね。